みなさん、こんにちは!
NOTEの活動について、いつも応援ありがとうございます。
さて、早くも1月が終わろうとしていますが、2026年最初の今回は、「まちづくりのファイナンス」についてお話しようと思います。
私たちが全国各地で展開している「NIPPONIA(ニッポニア)」のまちづくり事業は、地域の歴史的な建物を再生し、その土地の暮らしや文化の魅力を次世代につなぐことを目指しています。
ただ、この壮大な夢を実現するには、乗り越えるべき大きな壁がありました。そう、「お金の壁」です。
NOTEがまだ一般社団法人ノオトとして活動を始めた2009年頃、古民家再生のプロジェクトを進めるうえで、私たちは大きな苦労をしました。
古民家一棟を宿泊施設やレストランとして活用するには、安全性を確保したり設備を整えたりするために、数千万円もの改修費用が必要になります。ところが、金融機関から必要な資金を借り入れることが、非常に難しかったのです。
なぜかというと、前例が少なかったこと、そして何より、日本の不動産の評価の仕組みに大きな原因がありました。
日本の不動産、特に建物に関する価値観は、とても独特です。
日本の法律や慣習では、新築された建物は、建てた瞬間から基本的に価値が下がっていく(減価していく)ものと見なされます。
例えるなら、新しく焼き上がったケーキが、オーブンから出した瞬間から価値が目減りし始めるようなものかもしれません。古い建物であればあるほど「担保としての価値がない」と判断されてしまうため、銀行で土地の購入費用は借りられても、改修費用はなかなか借りられない状況でした。
一方、欧米などの海外では、メンテナンスがしっかりされている古い建物は、その価値が下がらないどころか、歴史や味わいによって価値が認められ続けています。ヨーロッパの古い街並みが美しく残っている理由の一つは、この価値観の違いにあると言えるでしょう。
私たちが再生しようとしているのは、築100年以上も経つ、地域にとって貴重な歴史的建築物です。これらの建物には、先人たちが長い時間をかけて築き上げてきた「暮らし文化」という計り知れない価値が内包されています。
しかし、現代の金融的な評価は、主に現在の資本主義的な価値観をベースにしています。この短期的な収益や担保を重視する価値観では、100年単位で価値を継承していくことを目指す歴史的建築物の評価と、根本的にミスマッチを起こしてしまうのです。
この問題は、まるで「国宝級のアンティーク花瓶の価値を、100円ショップのプラスチックの定規で測ろうとする」ようなものです。それでは、その真価を図ることはできません。
私たちは、短期的な利益だけでなく、地域文化を未来へ残すための「地域の未来資本」を描き、評価する「新しい価値観」が必要だと考えました。
新しい価値観で地域資本を支える仕組み。その実現のために、2020年頃、大胆なアイデアを抱きました。
それが、「NIPPONIA活動とフィットする金融の仕組みを創るべき」という思いから生まれた「NIPPONIA銀行構想(仮称)」だったのです。
これは皆さんが一般的に想像する「銀行」ではありません。地域に眠る文化資本を、持続可能な投資資産へ転換する事を目的とした会社です。
後々仲間から、日本国内では、銀行免許を持たない一般企業が社名(商号)に「銀行」という文字を使うことは、法律で明確に禁止されている事を知りました(笑)
銀行という名前は使えなくても、私たちが目指す「100年先の未来資本を評価する」という目標は諦めません。
古い建物の価値を認めない従来の金融的な評価軸と、地域の歴史的価値とのミスマッチを解消し、歴史的建築物再生の資金課題を専門的に解決することは、NIPPONIA事業を全国に広げ、持続性を担保するために不可欠だったからです。
これまでは、歴史的建築物の特性上、改修コストが高く担保評価も低いため、プロジェクトごとに資金調達が属人化し非効率であるという構造的課題に直面していました。この困難な課題に、現場のNOTE社員が高度な交渉スキルと緻密なロジック構築をもって向き合うことは、極めて大きな負荷となっていたのです。
私たちは、この構造的な課題を根本から解決し、NIPPONIAのビジョンである「なつかしくて、あたらしい、日本の暮らしをつくる」を持続的に実現するため、「金融のあり方を創造」し、超長期的な視点を持つキャピタル・デザインを実現するための専門組織を設立することを決めました。
それが、NIPPONIAコモンズパートナーズ株式会社。略して「NCP」です。
(NCP設立のリリースを公開しています。ぜひご覧ください。)
金融の会社を立ち上げるから元銀行マンが必要とは思っていません。逆にそうじゃない人を交えて創った方が面白いんじゃないかと思っています。というのは、既存の金融市場における価値観や先入観は、結局今の資本主義的な金融価値で考えられる範囲の事しかできないと考えているからです。(もちろんそうでない銀行員・元銀行員もいる事を付け加えておきます!)
NCPは、「地域資本の新しい形をつくるキャピタル会社」として、「公共性×収益性」の両立を可視化する金融モデルを創出すること、そして、地域と投資家、金融機関が共に支え合うコモンズ(共有資本)を実現することを目指します。
NOTE本体が「まちづくり構想し統合する“開発者”」であるのに対し、
このNCPは「それを資本で支える“設計者”」という役割を担い、
NIPPONIAグループ全体を「まちづくりVC(バリューチェーン)」へ
と進化する大きな一歩なのです。
100年先の未来をつくるために、私たちの挑戦は続きます。
私たちは単なる「まちづくり会社」から、開発・運営・金融が三位一体となって地域の未来資本を支える「まちづくりVC(バリューチェーン)」へと進化し、次の100年を見据えた持続可能な成長を実現していきます。(運営?!)
「三位一体」!?もう一つの「運営」とは?
それは次回のブログでお話したいと思います。お楽しみに!
藤原 岳史
株式会社NOTE 代表取締役
一般社団法人ノオト 代表理事
1974年兵庫県生まれ。大学卒業後、食品会社に勤務。その後、米国に1年間留学し、情報システムを学ぶ。2001年より東京・大阪のIT企業に勤務し、マーケティングやコンサルティングに携わる。2009年、地元の丹波篠山に戻り、一般社団法人ノオトに参加。2016年、株式会社NOTEを創業。以降、「篠山城下町ホテルNIPPONIA」を皮切りに、北海道から沖縄まで全国30地域以上に展開。