丹波篠山の城下町から車で北に向かって約10分。谷筋沿いに続く集落の、最後に見えてくるのが丸山集落です。
現在の場所に集落ができてから約250年、その間ずっと、山を守り田を耕し、12軒だけで暮らしを続けてきました。
市内でも珍しく、集落内のほぼ全ての家が今でも萱葺き屋根のままです。
日本の原風景が残る丸山集落ですが、宿が開業した2009年時点では、12軒のうち7軒が既に空き家になっており、消滅集落の一歩手前でした。
本当にこのままで良いのか、集落住民全員が参加するWSや外部講師を招いた勉強会を何回も重ね、そして半年後、集落に人が訪れ、集落の暮らしを体験してもらえるような滞在場所を作ることが決まりました。
いきなり移住することは難しくても、1泊からの住人になって、何度も訪れる人が増えたら集落は変わるかもしれない。
そんな思いから始まったのが、「集落丸山」の宿です。
従来の宿泊施設とは違い、地域の暮らしに溶け込む「一泊からの住人」という、その後のNIPPONIA事業に繋がる考え方はここから始まりました。
集落丸山の事業は株式会社NOTE設立前、一般社団法人ノオト時代に初めて手掛けた地域再生プロジェクトです。
集落住民で構成されたNPOと一般社団法人ノオトで有限責任組合を設立し、施設の運営に必要な役割を分担しています。
NPOがお客様のお迎えや清掃等、現地の業務を担い、ノオトがPRや経理など集落にはノウハウが少ない部分の業務を担う、という体制から始まり、現在は少しずつ業務のバランスを集落に移して、最終的には集落が自立できるような体制を目指しています。
集落丸山は開業時からこれまで、ほぼ変わらずに3割の稼働率で運営を続けています。
価格を下げて稼働率を上げる戦略ではなく、価格を上げる代わりに稼働率を抑える考え方を採用しているためです。
そうすることで、運営を担う地域住民の負担も少なくなり、また一定以上の価格に設定することで、集落丸山の良さを分かってくれるお客様に届けやすくするためです。
集落丸山
施設の詳細は上記webサイトからご覧いただけます。ご予約も同サイトより行えます。※外部の予約サイトに移動します。
丸山集落はほぼ全ての民家が、摂津地域、丹波地域に特徴的な「摂丹型」と呼ばれる古民家の造りになっています。
玄関を開けると通路が伸び、突き当りに炊事場としての土間、通路に沿うように座敷が配置されています。
斉藤さんの自宅だった建物で、表札がそのままにしてあるのも地域の暮らしに溶け込んでもらうためのこだわりの一つです。
五右衛門風呂とアイランドキッチンが特徴です。隣接するフレンチ・ひわの蔵には勝手口から直接行くことができるのも嬉しいポイントです。
ほの穂よりもう一段高台に建つ明かり棟は、構造自体はほの穂とほぼ同じです。
明かり棟には五右衛門はありませんが、代わりに土間の薪ストーブが楽しめます。寝室の本棚は、時々集落のお父さんが本を入れ替えてくれているんだそう。