姫路の北に位置する福崎町は、古くから東西・南北の街道が交差する町として賑わいました。「日本民俗学の父」である柳田國男が生まれ育った地としても知られ、知の巨人・柳田が、学問の礎を築き、民俗学を志した原点に出会える町でもあります。
江戸時代、この町の政治と文化の中心的役割を担ったのが、姫路藩の大庄屋だった三木家でした。代々、学問に熱心で、良質な4000冊以上の蔵書があり、知識人との交流も盛んでした。
この三木家に明治18年、11歳だった柳田少年は1年間ほど預けられ、大量の蔵書を読みふけります。後に、柳田はこの読書体験について、「私の雑学風の学問の礎が形造られた」と振り返っています。
こうした地域史を物語る「大庄屋 三木家住宅」は、1972年に兵庫県指定文化財となりました。
「NIPPONIA播磨福崎 蔵書の館」は、この三木家住宅の一部と、敷地に隣接する「旧辻川郵便局舎」を改修して活用。計7室のホテルとレストラン、ブックカフェとして新たな歴史を刻んでいます。
「三木家住宅」は1972年に表座敷及び敷地内の計9棟が重要文化財に指定されています。「NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館」のように、県指定重要文化財を新たに改修し宿泊施設として活用する事例は全国で初めてとなります。
NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館
国内で初めて県指定文化財の古民家を宿泊施設として活用した施設です。ご宿泊の他にウェディングも行うことができます。ご予約は上記webサイトから行っていただけます。
1655年、姫路から移り住んだ三木家が構えた邸宅は町の主要道路に面し、建築から300年近い年月が経った今でもその堂々とした姿を保っています。
柳田国男が三木家に預けられた当時、三木家の先代が学者だったこともあり、家には当時にしてはとても珍しく、4,000冊を超えるほどの書物があったそうです。「NIPPONIA 播磨福崎 蔵書の館」ではその歴史を継承し、日本出版販売㈱のブックディレクションブランド「YOURS BOOK STORE」がセレクトした約500冊の蔵書をお楽しみいただけます。
1922年、三木家の当主が辻川郵便局局長に就任したことをきっかけに建設し、翌23年に竣工した大正時代の洋風建築です。建設以降、1960年代まで郵便業務、電話交換業務を行っていました。
2019年に元あった場所から数10mほど移築され、三木家住宅の活用と合わせ、新たにブックカフェ&2室の客室として再生しました。
※2021年5月15日よりカフェのみの利用も可能となりました。